自分たちにとって、苦しいこと、悲しいこと、辛いことや嫌なことは、きっと今後も何度もやってくる。

私たちは、100年に1度とも言われるウイルスにより、予期しない事態に普段のありふれた生活を変えられた。

苦しい、悲しいといった言葉では表せられないほどの絶望がそこにはあった。

自分たちでこの状況を変えることは、到底できないだろう。

ウイルスを撃破したり、コロナ禍を変えたりすることは自分たちにはできない。

 

しかしながら、与えられた今の状況を自分たちの手で明るくすることはできる。

「笑顔」という誰もが持っている力で、暗い世の中を変えることができる。

暗闇にさす光は、本当に眩しく見える。

自分たちにとって、苦しい時、辛い時に、誰かの笑顔で励まされるといった経験はないだろうか。

 

26代目名古屋学生チーム『鯱』の作品は、辛い時、苦しい時に一歩踏み出す手助けとなるよう、鯱っ子の笑顔で演舞を見てくださった皆さんが笑顔になれるようにと願い、作りました。

どんなに暗い中でも、立ち止まっていてはその状況を変えられない。

鯱と共に一歩踏み出し、共に笑おう。

一歩踏み出した先には、必ず光が待っている。

 

さあ、今こそ笑顔になろう!

踏み出す今、この瞬間に光あれ!!

 

26代目名古屋学生チーム『鯱』

代表 マリックン


「踏み出す今 光あれ!」

作品名の「光」は笑顔や、金鯱の輝きを表しています。

26代目の作品をご覧いただいた方、そして作品を届ける私たち自身の明日の活力になってほしい。一歩踏み出す人が笑顔になってほしい。その笑顔はきっと未来を明るくし、周りまでも笑顔にするだろうという想いを込めています。

テーマ「笑顔」

当たり前だと思っていることは、いとも簡単に変わってしまう。ありふれた日常の幸せに気がついた時、改めて原点を振り返ると私たちの日常を輝かせていたのは人びとの笑顔であった。

私たちが笑顔でいることで人びとを笑顔にする。

名古屋学生チーム『鯱』があなたの光となるように。

どんな時も輝く未来が訪れることを信じ、笑顔で突き進もう!

 

踏み出す今、この瞬間に光あれ!

モチーフ「金鯱」

名古屋城に輝く金鯱は、古くから名古屋の人びとの誇りであり、心の拠り所である。

金鯱は名古屋の街と人びとを見守り、その発展を見届けてきた。金鯱とともに復興してきた名古屋の街と、笑顔を絶やさず踊り続ける名古屋学生チーム『鯱』が進んでいく未来を重ね合わせて表現しています。

 

鯱鉾は、宮殿や楼門、城郭などの屋根の両端に取り付けられます。

鋭いトゲのある皮やひれを持ち、老いると鮫魚になるという想像上の魚形海獣をかたどっています。

雌雄一対をなしていて、海に住むことから防火の効果があるとされ、反り返った姿に作られています。寺院や城郭では本堂や天守閣などの重要な建物に日除けの守り神として取り付けられています。

 

「宮の浜には魚が寄らぬ、金の鯱鉾陽に光る」

名古屋城の鯱鉾は東海道どこからでも見えるほどの大きさであり、名古屋の威厳を表し、人びとの自信でもありました。

空襲により名古屋の大半が焦土と化します。金鯱も例外ではありません。

 

しかし、実測図が残っていたこと、優秀な職人の技、そして金鯱をもう一度名古屋城の天守閣に掲げたいという強い想いにより、変わらぬ姿で金鯱は輝いています。


情景① どんどこ・金鯱「金鯱を掲げる」

 

16世紀、名古屋城天守閣に金鯱を掲げた。

高い場所から尾張を見守る金鯱は、尾張の威厳である。

人びとは輝く象徴となることを期待した。

この金鯱の城で、尾張を賑やかにしたい!という人びとの期待感や高まる気持ち、うずうずした状況を表現しています。

 

情景② 名古屋囃子・お祭り「日常」

 

街の輝きは金鯱の輝きと同等だ。日本の代表としても選ばれるようになった金鯱によって街が発展し、笑顔が溢れた。金鯱は尾張の誇りとなった。

街では商売や祭りが行われ活気づいていく。

 

そして、金鯱の輝きは街に馴染み、人びとに定着していった。

情景③ 予兆「日常②」

 

祭りや商売が行われ、日々笑顔ある街にも戦争の影が…

空襲が起き始め、名古屋の空にも敵機が飛ぶようになる。

戦争が本格的に始まるだろう。

しかし、私たちには金鯱がある。きっと街も私たちのことも守ってくれるはずだ。

何も心配することはない。

情景④ 空襲

 

しかし、ついに名古屋の街にも空襲が来た。焼夷弾が町に落ちる。

真っ黒な空に赤い炎。

街は戦火に包まれた。

人びとはここで初めて空襲の恐ろしさを知る。

街や人が燃えていく様子を見て、絶望した。

私たちの名古屋城が、金鯱が燃えて灰となった。

情景⑤ 回想

 

空襲によって絶望し不安や悲しみの中で人びとは、かつての金鯱の輝きを思い出す。

金鯱があったことで名古屋の人びとは輝き、笑顔で溢れていた。

名古屋のシンボルである金鯱を取り戻したいと願う。

そして、あの頃の笑顔も取り戻したいと人びとへ強く願った。

情景⑥ 鯱紡げ

 

金鯱をもう一度名古屋城の天守閣に掲げると決意し、動き出す。

街の人びとは、名古屋のシンボルである金鯱の輝きと街の輝きを取り戻したいと思う。

情景⑦ 未来へ突き進む

 

金鯱を再び名古屋城の天守閣に掲げるために動き出す。

私たちの心の拠り所であり、笑顔の原点であった金鯱。

再び金鯱を掲げることで、街に笑顔と活気を取り戻したい。

街の人びとに希望の光が照らされることを願う。

笑顔溢れる明るい未来、さらに輝かしい未来に向かて、今踏み出そう!